師家の参玄記

初転法輪

開単のご挨拶

謹啓 學道舎を取りまく山々の残雪もいつのまにか消え、宮沢賢治がその童話の中で仏性の象徴とした辛夷(マグノリア)の清冽な白い花も散り、この朽木學道舎の周辺では山桜が満開となり、梨やスモモの花が一斉に咲きだしました。 付近にはすでにオオルリやツツドリ、サシバなどの夏鳥が渡って来ており、ブナの新緑が目にも鮮やかな季節となりました。 さて、みなさまからの過分のご支援、ご協力を頂きながら、ここ5年ほどの歳月をかけて進めて参りました朽木學道舎が、ようやく開単にまでこぎ着けることができましたので、ここに謹んでご報告申し上げます。 道元禅師の「正法眼蔵」と母の手縫いの座蒲、それに一揃いの宮沢賢治全集を携えて、 […]

我が参玄記

目次 ■仏教、坐禅へのきっかけ ■インド旅行 ■帰国、朽木へ移住 ■仏教への道 ■正師につく ■決着に向けて ■仏教、坐禅へのきっかけ ―― 修行を始めたきっかけはどのようなものだったのでしょうか。 小さい頃から非常に人間の死というものが怖かったんです。割と臆病だったんじゃないかと自分で思いますね。小学校の隣に忠霊塔がありましてね、そのそばで行われていた戦没者の法要が怖かったですね。それを見て怖かったという印象があります。私は貧しかったですけれども健康でしたし、身近に病人がいたこともないんですが。 小学校の低学年の頃、学校で掃除をしていると、学校の裏の踏切の方でものすごい爆発音がして、駆けつけ […]
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